奨学金が返せない場合のリスクを時系列で解説!すぐに実践できる救済措置は?

低収入や無職などといった理由から、学生の頃に借りた奨学金を返せなくて困っている人は多いのではないでしょうか。

日本学生支援機構の調査によると奨学金を滞納している人は、年間で15万7千人にものぼることがわかっています。

年度 1日以上以上の滞納者数 3ヶ月以上の滞納者数
平成27年度末 328,000人 165,000人
平成28年度末 335,000人 161,000人
平成29年度末 336,000人 157,000人

返済の目処が立たずに滞納を続けていると、ドラマのように取り立てをされるのではないかと不安になりますよね。

奨学金を長期に渡って滞納したからといって過度な取り立てをされるわけではありませんが、返済の催促を無視し続けていると最終的に差し押さえとなる可能性があります。

しかし、日本学生支援機構が設けている救済措置を利用すれば返済義務の免除または支払い期日を待ってもらうことが可能です。

  • 奨学金は延滞した翌日から延滞金が加算される
  • 奨学金の滞納を続けると給料が差し押さえられる
  • 返還期限猶予制度なら支払期日を過ぎても待ってもらえる
  • 減額返還制度に申し込むと返済月額を減額してもらえる
  • 怪我や病気で働けない場合は返還免除制度の対象となる

奨学金を返済できなくて困っているあなたが、すぐに実行できる救済策を詳しく解説していきます。

目次

奨学金が返せない状態の放置は危険!最終的に差し押さえになるケースがある

最終警告書

奨学金が返せない状態を放置し続けた場合、滞納している期間が長いほど重いペナルティが課せられます

最終的には差し押さえとなって生活に影響が出るリスクがあるため、返済にあてるお金がないからといって放置するのはおすすめできません。

返済に応じない場合に差し押さえとなる旨については、日本学生支援機構の公式ホームページにも記載されています。

返済に応じない場合は、保証機関が強制執行にいたるまでの法的措置を執り、給与や財産を差し押さえます。

つまり、奨学金の返済を滞納している期間が長くなると給料や住居を失うということです。

返済を延滞してからすぐに差し押さえになるわけではありませんが、最長でも約10ヶ月を超えると強制執行されてしまいます。

滞納している期間が短い場合であっても、少しずつ課せられるペナルティが増えていきますので注意しましょう。

滞納している期間ごとに課せられるペナルティを、時系列で表にまとめましたので参考にしてください。

延滞期間 ペナルティ
返済予定日の翌日 延滞金の発生
延滞初日〜2ヶ月後 保証人へ支払いを請求
3ヶ月後 個人信用情報機関への登録
6ヶ月後 債権回収の専門会社が督促開始
9ヶ月後 裁判所からの支払い督促
支払督促の2週間後 給与や預金、住居が差し押さえになる

奨学金は生活の苦しい学生が進学できるように支援するための融資制度であるものの、返済が遅れた場合のペナルティに関してはやや厳しめといえます。

知らない人も多いと思いますが、奨学金は返済が遅れた翌日からペナルティが課せられます。

支払いが遅れた翌日から2.5〜10.0%の延滞金が加算される

小銭

奨学金の返済が遅れると、翌日から2.5〜10.0%の延滞金を請求されます

遅延損害金とは

返済が遅れた場合に、貸付側が損害を被ったとして請求されるお金のこと。

延滞金が発生する条件については、日本学生支援機構の公式ホームページにも記載されています。

約束の返還期日までに返還されないと、延滞金が課されます。

つまり、1日でも支払いが遅れると無駄に支払うお金が増えるということです。

奨学金を借りる際に適用される金利は通常1%未満となっているため、延滞金が発生した場合は支払う利息が最大10倍に膨れ上がってしまいます。

注意ポイント

無利息で学費を借りられる第一種奨学金であっても、返済が遅れた場合は遅延損害金を支払う義務が発生しますので注意が必要です。

遅延損害金は延滞している日数に合わせて算出されており、支払わない期間が長いほど返済総額に多額の利息が加算されていきます。

管理人の見解

支払いが遅れて間もないのであれば、利息が増えすぎないうちに少しでも早く返済を進めるのが賢明です。

とはいえ、返済を進めるためのお金が手元にない人もいますよね。

すぐに返済を進めたい場合は、次の給料が支給されるまで民間の金融機関で融資を受けるのもひとつの手段です。

民間金融機関なら最短でその日のうちに借入金を受け取れるため、スピーディーに資金調達したい人だけでなく生活費が足りなくて困っている人にも向いています。

今すぐ借入金を受け取れる民間の金融機関については、下記で詳しく解説していますので参考にしてください。

貸付側に連絡しないまま遅延し続けていると保証人に請求される

お金

奨学金の返済が遅れても日本学生支援機構や通っている大学などの貸付側に連絡しないまま放置していると、保証人に請求されてしまいます

保証人は、奨学金の申請時に貸付側との間で奨学生が返済できない場合に代わりに支払う契約をしているからです。

保証人として日本学生支援機構の機関保証を選択している場合は問題ありませんが、親や親戚に頼んでいる場合は滞納している事実がバレてしまいます。

奨学金の返済を遅延した場合に保証人に請求される旨については、日本学生支援機構の公式ホームページにも記載されています。

本機構では、返還金を延滞すると、本人、連帯保証人、保証人に対して、文書と同時に電話による督促を行うこととしております。

そのため奨学金の返済が遅れる場合は、日本学生支援機構や通っている大学などの貸付側に前もって連絡しておくのが得策です。

いつ返済するのか伝えておけば、ある程度支払い期日に融通を利かせてもらえるケースもあります。

それでも返済しない場合や保証人が支払いを拒否した場合は、ペナルティが増えてしまいますので気をつけましょう。

滞納している状況が信用情報に記録されると他のローン審査で不利になる

JICCの封筒

奨学金が返済できない状態となってから3ヶ月経過すると、滞納している状況が信用情報に記録されます

信用情報とは

JICC(日本信用情報機構)CIC(指定信用情報機関)が管理している個人情報のこと。
クレジットカードや携帯電話の利用料金の支払い状況などを記録している。

信用情報に記録された場合、住宅ローンやカードローンなどといった他の借入審査でかなり不利になってしまいます。

どの金融機関の借入審査でも、信用情報の照会によって利用者の返済能力を確認することが義務付けられているからです。

金融機関側が借入審査で返済能力を確認する義務については、金融庁の公式ホームページにも記載されています。

全ての借入れについて、①借入れの際の返済能力の調査義務、 ②返済能力を超える貸付けの禁止
個人向け貸付については、①指定信用情報機関制度、 ②総量規制を導入し、仕組みを厳格化

つまり、奨学金の返済が3ヶ月以上遅れた人は自分の名義でローンを組むのが困難になるということです。

信用情報に滞納の記録がある人は返済能力が低いと判断され、審査で落とされてしまうケースも少なくありません。

延滞の記録は5年間保管されますので、カードローンを利用する予定がある人や将来的に住宅ローンを組もうと考えている人は3ヶ月以内に返済を再開することをおすすめします。

3ヶ月以内に返済できないまま6ヶ月目を迎えてしまうと、債権回収の専門会社が督促を開始します。

債権回収の専門会社が督促を始めると会社や家族に借り入れがバレる

会社の玄関

滞納期間が6ヶ月を過ぎて督促開始となった場合、債権回収の専門会社に勤務先や自宅へ訪問されてしまいます

人目を気にすることなくその場で返済を求められるため、滞納している事実が同僚や家族にバレることは避けられないでしょう。

勤務先や自宅へ取立てに来るのは違法なのではと思う人もいるかもしれませんが、残念ながら奨学金の回収に関しては弁護士法によって認められています。

訪問による奨学金の回収が認められている旨については、JASSO(日本学生支援機構)の公式ホームページにも記載されています。

本機構の学資金(奨学金)は、債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年10月16日法律第126号)において「特定金銭債権」と定められており、 弁護士法(昭和24年法律第205号)の特例として債権回収会社が特定金銭債権の管理および回収を行うことを法務大臣により許可されています。

そのため勤務先や自宅に訪問する際は事前に連絡してもらえるものの、債権回収の拒否には応じてもらえません。

どうしても家族や同僚にバレたくない人は、勤務先や自宅の敷地内に立ち入られないように訪問する時間を事前に確認して玄関で待機することをおすすめします。

裁判所から支払い督促の書類が届いた場合は一括返済を求められる

督促書

債権回収の専門会社が督促をしても返済できず、9ヶ月経過すると裁判所から督促状が届きます

督促状は返済の催促とは異なり、奨学金の一括返済を求められてしまうため注意が必要です。

一括返済ができない場合は、督促状を受け取ってから2週間以内に裁判所へ異議申立書を提出すると債権者と話し合いをさせてもらえます。

返済する意思を伝えて債権者と和解できれば、分割返済に応じてもらえるケースもあるので安心してください。

督促状が届いてから2週間経過しても返済や異議申し立てをしないまま放置をすると、最終的に強制執行(差し押さえ)となります。

支払督促を受け取ってから2週間以内に督促異議の申立てをしないと,支払督促に仮執行宣言が付され,直ちに強制執行を受けることがありますので,ご注意ください。

前述でも解説しましたが、差し押さえになると給料や住居などの財産をすべて失ってしまいます。

どうしても返済が進められない場合は、奨学金を返せない人向けの救済措置がありますので返済を放置するのではなくそちらを検討しましょう。

返済できない人向け!日本学生支援機構の救済措置は支払いの負担が軽くなる

ノートとお金

奨学金が返せない状態を放置するリスクを知ったうえで、自分がどう行動したら良いのかわからない人も多いのではないでしょうか。

返済できる目処が立たない場合は、日本学生支援機構が設けている救済措置に申請すると支払いの負担が軽くなります

救済措置では返済の義務の免除または支払期日の延長が可能となっており、収入の都合に合わせて自由に申請できます。

救済措置に申請するとすぐに翌月の請求を中断してもらえるケースもあるため、返済できなくて困っている人に最適です。

日本学生支援機構が設けている救済措置を以下で表にまとめましたので、参考にしてください。

救済措置 内容
減額返還制度 返済月額を2分の1〜3分の1までに減額してもらえる
返還期限猶予制度 返済期限を最長10年まで延長してもらえる
所得連動返還方式 前年度の年収に合わせて返済月額を設定してもらえる
返還免除制度 返済の義務を免除してもらえる

それぞれの救済措置について、詳しく解説していきます。

減額返還制度なら毎月の返済額を2分の1または3分の1に減額してもらえる

お金と通帳

在職している人が救済措置を利用する場合は、減額返還制度を選択するのがおすすめです。

減額返還制度では、毎月の返済額を2分の1または3分の1までに減額してもらえます

一度の申請で減額できる期間は最長12ヶ月までとなっており、毎年願い出ることで最長15年まで制度を利用できます。

返済月額が少なくなることから完済までの期間は長くなってしまいますが、収入に合わせた支出額になるため無理なく返済を続けられるのが特徴です。

減額返還制度の対象となるのは失業や傷病などによって経済困難に陥っている人で、年齢に関係なく申請できます。

ただし減額返還制度には収入制限があり、年収が325万円を超える場合は利用できませんので注意が必要です。

収入制限については、文部科学省の公式ホームページにも記載されています。

経済的理由により返還困難となっている者のうち、当初の割賦金額を 減額すれば返還可能となる者について、一定の要件(収入金額325万 円以下など)を満たすことで、一定期間、当初割賦金額を2分の1に 減額し、返還期間を延長することにより、返還者の負担軽減とともに、 返還金の回収促進と延滞の抑制を図る。

年収が325万円を超える人は、収入が安定していると判断されるため減額返還制度の利用対象外となってしまいます。

とはいえ年収325万円以上あっても、配偶者がいて生活が苦しいという人もいますよね。

収入制限によって減額返還制度を利用できない人は、支払期日を延長してもらえる救済措置がありますのでそちらを検討してみてはいかがでしょうか。

返還期限猶予制度なら支払期日を最長10年まで先延ばしにできる

カレンダーと時計

返還期限猶予制度では、奨学金の支払期日を最長10年まで先延ばしにしてもらえます

延長期間は審査によって決められており、返済できない事由が深刻であるほど返済を中断できる年数が長くなります。

延長期間中は返済する必要がないため、病気や怪我で働けない人や低収入によって支払うお金を捻出できない人に最適です。

返済を中断できる旨については、日本学生支援機構の公式ホームページにも記載されています。

審査により承認された期間については返還の必要がありません。

ただし返還期限猶予制度はあくまでも返済期日を先延ばしにしているだけであり、元金や利息が減るわけではないという点には注意しましょう。

減額返還制度とは異なり、返済を中断している状態になるため完済するまでの期間が大幅に長くなってしまいます。

管理人の見解

返済を止めたい期間が2〜3ヶ月程度なのであれば、民間金融機関で融資を受けて支払いを続けるほうが賢明です。

例えば非営利金融機関のろうきんなら、営業担当エリアの住民への融資に積極的なうえに3.875%〜8.475%の適用金利で借りられるため利息が増える心配もありません。

奨学金が返済できなくて困っている人は、資金調達をする面でも視野を広げてみてはいかがでしょうか。

ろうきんでお金を借りる方法については、以下で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

安定した収入を毎月得ている人は、返済方式を切り替えてみるのもひとつの手段です。

所得連動返還方式は年収額に合わせて無理のない返済月額が設定される

源泉徴収票 width=

所得連動返還方式では、前年度の年収額に応じて返済月額が連動します

定額返還方式とは異なり、年収が少ない場合に返済月額を自動的に減額してもらえるため無理なく支払いを続けられるのが特徴です。

返済月額は前年度の課税対象所得金額に9%を乗じて12で割った金額が採用されており、最低2,000円まで引き下げられます。

ただし、年収が多い人は現在の返済月額よりも高くなってしまう可能性がある点には注意が必要です。

定額返還方式から所得連動返還方式に切り替える前に、減額後の返済月額を確認しておきましょう。

定額返済方式を選択した場合と所得連動方式を選択した場合の返済月額については、以下のシミュレーション結果を参考にしてください。

現在の返済月額が14,400円の人が切り替えた場合

定額返還方式 所得連動返還方式
年収0円 月額14,400円 月額2,000円
年収100万円 月額14,400円 月額2,000円
年収200万円 月額14,400円 月額4,700円
年収300万円 月額14,400円 月額8,900円
年収400万円 月額14,400円 月額13,500円
年収500万円 月額14,400円 月額18,500円
年収600万円 月額14,400円 月額23,500円

現在支払っている月額によって異なりますが、年収500万円以上の人はかえって返済が苦しくなる可能性があるということを念頭に入れておきましょう。

奨学金の貸与が終了している場合は所得連動方式に切り替えてしまうと定額返還方式に戻せなくなるため、必ず前もって減額後の返済月額を確認することをおすすめします。

病気や障害によって就労が難しい場合は返還を免除してもらえる

ATM

前述のように奨学金の月額を減額してもらっても、支払い自体が難しいという人もいるのではないでしょうか。

病気や障害などによって就労が難しい人は、日本学生支援機構へ願い出ると奨学金の返還を免除してもらえます

返還免除の対象となる人は、以下のとおりです。

対象者 減額範囲(目安)
病気や怪我によって一時的に働けない人 奨学金の一部(働けるようになるまで)
病気や怪我、障害によって働けない人 全額
奨学生本人が死亡した場合 全額

奨学金を免除してもらえる範囲はあくまで目安になりますが、病気や怪我が比較的早めに完治する場合は返済額の一部を減額となるケースがほとんどです。

一方で不治の病や奨学生本人が亡くなった場合など、返済の目処が立たない場合は奨学金の全額を免除してもらえます。

ただし返還免除制度はあくまでも病気などで働けない人を対象にしているため、健康な人は申請できません。

どうしても返済できない場合は、最終手段として自己破産を検討しましょう。

一銭も払えない人の最終手段!自己破産は救済策として国が認めた権利

破産申立書と印鑑

減額返還制度や返還期限猶予制度などの救済措置を利用しても奨学金を返せない場合は、自己破産を検討しましょう。

抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、自己破産は多重債務に苦しむ人の救済策として国や法律で認められている立派な権利です。

裁判所にて自己破産の申し立てをし、免責許可を得られると破産法で定められている税金を除くすべての債務を0円にしてもらえます

責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。

とはいえ、自己破産をすると無一文になるのではないかと不安に思っている人もいるのではないでしょうか。

自己破産をしても、生活に必要な財産であれば20万円程度の預貯金を保持できます

財産処分の対象となるのはあくまで自己破産した本人のみであり、親や兄弟名義の財産が奪われる心配はありませんので安心してください。

注意ポイント

ただし、保証人が親族の場合は財産処分の対象となる点には注意が必要です。

返済の義務から逃れられるからといって、奨学金の踏み倒しができるわけではないということを覚えておきましょう。

奨学金を返せない状況に陥って嫌悪感を感じている人もいると思いますが、全ての責任があなたにあるわけではありません。

なぜなら、将来の安定が決まっていない若者に対して高額の貸付をおこなっている政府や具体的な返済計画を一緒に立てないまま奨学金に申請させた周囲の大人にも問題があるからです。

実際に、奨学金は卒業生の約100人に1人が滞納している実情があります。

奨学金を返せない若者の割合は1日あたり8.2〜10%にものぼっている

大学

奨学金を返せない状況が続いていて、滞納しているのは自分だけなのではないかと不安な人もいるのではないでしょうか。

奨学金の返済が始まった卒業生の中で、延滞している人の割合は1日あたり8.2〜10%にものぼっています。

つまり、奨学金を返済している人の100人に1人は延滞しているということです。

奨学金の延滞者数と割合については、日本学生支援機構の公式ホームページにも記載されています。

年度 返還者数 1日以上の延滞者数 3ヶ月以上の延滞者数 延滞者の割合
平成24年度末 333万4千人 33万4千人 19万4千人 10.0%
平成25年度末 353万5千人 33万4千人 18万7千人 9.4%
平成26年度末 374万1千人 32万8千人 17万3千人 8.8%
平成28年度末 409万5千人 33万5千人 16万1千人 3.9%

奨学金の延滞者数は年々減っているものの、少ないとはいえない実情があります。

では、なぜ奨学金を滞納する人が多いのか詳しく解説していきます。

支払いが苦しくなる最大の原因は就職難によって収入が安定しないこと

お金

奨学金の返済月額を支払うのが苦しくなり、延滞してしまう最大の原因としては就職難が挙げられます

2014年頃より大学卒業者数が増加している状況に対して企業側の採用枠が少なく、就職の競争率が高くなっているからです。

卒業までに内定を受けられず、フリーターや契約社員として就業したことにより収入が不安定になって奨学金を返せなくなるケースも少なくありません。

大学卒業者の進路については、2018年に文部科学省がおこなった学校基本調査で以下のような結果が出ています。

進学 67,734人(11.9%)
正社員として就職 413,971人(72.9%)
非正規の仕事に就職(フリーター、契約社員等) 9,183 人(1.6%)
進学や就職をしていない(無職) 44,182人(7.8%)

つまり大学卒業者の約10人に1人は就活が上手くいかず、フリーターや無職になっているということです。

フリーターや無職のように収入が安定しない人は奨学金の返済にあてるお金を捻出するのが難しいため、延滞に繋がりやすくなってしまいます。

返さなければいけないお金であるということを知らない奨学生が多い

奨学金の延滞者が増える原因として就職難の他にもうひとつ挙げられるのが、返さなければいけないお金であることを知らない学生が多いという点です。

奨学金は借りる際に親や親戚が申し込むケースがあり、奨学生本人に細やかな説明がされないため大学を卒業しても返済の義務があることに気づかない人が数多くいます。

日本学生支援機構の調査では、奨学金を延滞している人のうち800人以上が貸与終了後に返済の義務に気づいたという結果が出ています

返済の義務に気づいた時期 延滞者 無延滞者
人数 割合 人数 割合
貸与手続きをおこなう前 2,243人 56.1% 2,319人 92.5%
貸与手続き中 410人 10.2% 98人 3.9%
貸与中 211人 5.3% 33人 1.3%
貸与終了時 129人 3.2% 12人 0.5%
貸与終了後〜変換開始前 181人 4.5% 16人 0.2%
返還開始〜督促前 164人 4.1% 6人 0.2%
延滞督促を受けてから 377人 9.4% 4人 0.2%
その他、わからない 286人 7.2% 20人 0.8%

特に延滞督促を受けてから返済の義務に気づいた場合、返済額が通常の3〜6倍に膨れ上がっていることから支払えなくなるケースも少なくありません。

大学生は成人に近いとはいえ、借りる際には親権者や教員など近くの大人が返済の義務について詳しく説明する必要があります。

管理人の個人的な意見ではありますが、奨学金を返せない若者が増えるのは奨学生本人だけではなく周りの大人にも責任があるといえるでしょう。

奨学金の返済がきついと感じているなら速やかに行動することが大切

奨学金の返済が遅れていても、周りの大人に相談できなくてどうしたら良いのかわからない人も多いのではないでしょうか。

奨学金の返済がきついと感じているなら、この記事で解説した減額返還制度や返還期限猶予制度といった救済措置を利用して速やかに行動するのが得策です。

しかし日本学生支援機構が設けている救済措置は審査に時間がかかり、すぐには督促が止まらない実情があります。

最も手っ取り早く返済が延滞するリスクを回避したいのであれば、金融機関から融資を受けるのもひとつの手段です。

その日のうちに借入金を受け取れるため、返済日が差し迫っている場合でも支払いが間に合う利点があります。

新社会人でも借り入れできる方法については、以下で詳しく紹介していますのでぜひ参考にしてください。